朝ラーメンから見つける事業転換のヒント

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朝からラーメン食べられますか

こんにちは。
製造業向けに業務改革支援に取り組みながら、
中小企業診断士として業種を問わず、
事業者様の支援をしています。

荒井竜哉です。

先日、とんこつラーメンの有名店「一風堂」
「”朝がゆ朝ラー”を始めたとニュースになっていました。

朝からとんこつラーメンを食べる人は少ないのでは、と思ったのですが
提供されるラーメンは、いつもの一風堂のものとは違うようです。

そんな一風堂の取り組みから、
コロナ禍で事業者が事業転換に取り組むヒントを探りたいと思います。

朝からラーメンを売る理由

そもそも、なぜ朝からラーメンを売る必要があるのでしょうか。

ご存知のとおり、コロナ禍の外出自粛で飲食店利用者が減り
さらに1月からの緊急事態宣言で営業時間が20時までに短縮されました。

これにより収益機会を大きく失う一方で、
人件費や家賃などの固定費用は継続して必要になります。

特に一風堂のように何百店も展開している場合、この影響は大きいです。

当初、一風堂のような大企業には
営業時短要請に対する協力金が出なかったこともあって
お金が流出するばかりでした。

この状況は決算情報から読み取ることができます。

一風堂を運営する「力の源ホールディングス」の決算情報によると
売上は前年同期の半分以下が続いていました。

GoToキャンペーンで業績が回復したQ3(2020年9-12月期)でも
売上は7割以下。それだけでなく営業赤字です

出所:力の源ホールディングス

今は21億円の借入金5億円ほど増えた未払金の猶予
なんとか耐え忍んでいますが、
緊急事態宣言が解除され、仮にGoToキャンペーンが復活したとしても、
今の事業規模を維持できそうにありません。

閉店時間が前倒しになるのであれば
開店時間を前倒しするしかない。

そして固定費を少しでも多く回収し、
お金が流出していく状況を食い止める必要があります。

どんなラーメンを提供するか

とはいえ、一風堂の経営資源(ひと・もの・かね・情報)を見渡したとき、
できることと言えば、やっぱりラーメン。

ただ、ランチや夜に提供しているとんこつラーメンを
そのまま朝に提供したとしても、
朝からとんこつラーメンを食べたい人がどれだけいるか
という問題があります。

そこで開発された朝メニューがこちらです。

出所:一風堂

「これでもか」というほど「朝」を強調したメニューです。

おかゆとんこつスープを活用して
生米を炊いて作っています。

逆にラーメンではとんこつスープは活用せず、
煮干しと昆布でスッキリとした醤油に仕上げています。

いずれも「おかゆ」「醤油味」と朝食をイメージさせ
食べやすいメニューです。

これに加えて、「体をあたためて」「コラーゲン」といった表現で
冬の寒い季節を意識させつつラーメンの不健康なイメージを払拭し
健康的なイメージで訴求しています。

価格はいくら? 営業体制はどうする?

価格についてもお客さまに受け入れられるための工夫が見られます。

ある調査会社のアンケート結果によると、
モーニングメニューの予算は、
平日で500円未満が6割を占めています。

出所:NEO MARKETING

価格を受容ラインともいえる500円に設定しています。

さらに商品は2つ、いずれもワンコインで提供していることもポイントです。

朝早くからアルバイト店員を確保することは難しく、コストもかかります。
朝なので急いでいるお客さまも多いでしょう。

商品を絞ることで調理方法を簡素化し、
ワンコインで金銭授受や券売機の釣り銭準備に手が取られるのを減らし、
従業員が少なくても対応できる体制を意識しているようです。

このように事業転換にあたっては、
「自社都合で時間を前倒ししただけ」ではなく、

  • お客さまのニーズに合わせて商品を開発したり
  • 商品提供できる営業体制を構築したり
  • 利益が確保できるか採算性を考慮したり

事業を再構築するために多面的に検討する必要があります。

新たな取り組みを支援する「事業再構築補助金」

「限られた営業時間の中で何を表現していくか」

「新たな価値を創造していけたらという思いでやっております」

一風堂梅田店の店長は、テレビインタビューでこう答えています。

コロナという誰にも予想できない環境変化で
手探りで対応せざるを得ない今、
事業再構築に懸命に取り組んでいる言葉が印象的です。

経済産業省は、事業の再構築を支援する「事業再構築補助金」を新設し、
先日、その概要が発表されました。

https://www.meti.go.jp/covid-19/jigyo_saikoutiku/index.html

一風堂の取り組みがこの補助金の事例として該当するか、今はまだわかりませんが、
一風堂の多面的な取り組みは、
事業転換、事業再構築の検討の参考になるのではないでしょうか。


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執筆者

荒井 竜哉|中小企業診断士
Arai Tatsuya

企業でのIT導入支援、運用支援を通じて、経営/業務課題の解決に取り組む。またコンサルティングファームで公的事業領域での事業計画、マネジメント支援にも従事。
マネジメントとオペレーションの両面から課題を解決することを心がけている。信条は「苦あれば楽あり」。


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