【匠取材シリーズ Vol.3】小野副理事長インタビュー(心構えと展望)

【匠取材シリーズ Vol.3】
小野副理事長インタビュー(心構えと展望)

活動&新米診断士に向けて

 小野先生への取材シリーズ。最終回は、小野先生が考えられるコンサルタントとして大切なスキルや考え方、そして新米診断士への助言から、今後の大阪府中小企業診断協会の展望に関して執筆いたします。コンサルタントとしてももちろん、一般の仕事にも共通するような考え方、長い間中小企業診断士としてご活躍されてきた小野先生だからこその助言、展望は中々聞くことが出来ない内容になっているかと思います。ぜひご一読ください。

【取材対象】

小野 知己|中小企業診断士
おの ともみ

 神戸大学経済学部卒業。サラリーマンを経て、現在は、中堅中小企業の「経営品質の向上(ワクワクする企業創り)」を支援するコンサルタント会社、イーエムイーコンサルタンツ株式会社の代表取締役。
(イーエムイーコンサルタンツ㈱HPはコチラhttps://www.emejp.com/


 

―コンサルタントの仕事をする上で大切だと思われることは何でしょうか。

 私は、例として「鬼と金棒」の話をよくします。「鬼」というのは「人間性」で、「金棒」というのは「仕組み」のことです。このバランスが大切、ということです。つまり、鬼が小さくて金棒が大きすぎると、鬼は金棒を振り回せませんよね。人間性が無いのに、知識だけあっても役に立ちません。後者は最悪の場合、詐欺をする事にもなりかねません。また、人間性が高くてスキルが無い人は「あの人いい人なんだけどなぁ・・・」で終わってしまいます。営業にけっこう多いんですよね。人間性はすごく高いのに、クロージングができない人。
 人間で例えましたが、会社も同じです。組織を動かす仕組みだけが良くても、それを動かす人材が育っていないと、うまくいきません。「人材」と「仕組み」両方バランスよく伸ばしていくことが重要なのです。現在、100年企業づくり合同会社では、組織の部分を私が担当し、日高さんが人材育成を担当していて、バランスよく支援を行っています。

―活躍する為に、必要不可欠なスキルはありますか。

対人理解力に尽きると思います。診断士には、勉強好きが多いような気がしています。

 しかし、診断士の試験を合格されているので、知識という点では十分なスキルを持たれているのです。自信を持って下さい。だからこそ、その他の面を意識して下さい。
 社長さんの観察力は凄いです。真剣に経営というものを考えているからです。社長さんと同じ目線で考えられるように、観察力を鍛え、対人理解力を鍛えて下さい。
 そして、私のポリシーでもあるんですけど、「先生」にはならない。先生ということは、対極には「生徒」がいるということですよね。立場上この仕事をしているだけで、あくまでパートナー。そういった気持ちを私は大切にしています。

―先生がよくおっしゃられる「ワクワク」というキーワードが気になります。

 最初に「unknown」という言葉を見つけて、それから「未知」を思いついたのがきっかけです。「無知」とは異なります。「未知」から始まるんですよね。知らないから何かを見つけようとするのであって、見つけた喜びが「ワクワク」感になりますよね
 人に対しても同じであって、他人のことを「あの人はこうだから」と決めつけては、面白くありません。知らない部分がいっぱいあると思うから、付き合えるわけです。

―今回取材させていただいている我々は現在企業内診断士なのですが、アドバイスなどあればお願いします。

 何が出来るか、どれだけ時間が使えるか、といった制約条件は、一度横へ置いておいて考えることが大切です。「土日で出来ることはないですか?」というものではなくて、あくまで、企業内診断士も独立診断士も「診断士」です。制約は関係なくて、やりたいことがスタートであるはず。「とりあえず動いてみてはどうですか」というのが私の意見です。
 あまり意識されていないかと思いますが、大きな企業でやっていることが中小企業からすれば凄いこと、ということは多々あります。皆さんはそれが当たり前のことと思っておられると思いますが、それを活かすことで企業内診断士の活躍の場は広がっていくと考えています。
 また、診断士協会としてもどのように企業内診断士に活躍してもらうか、ということを今まで以上に課題視しています。最近では、プロボノ活動も広がりを見せてきており、実証実験の段階ではありますが、徐々に活躍の場を広げていけるようにと考えています。

―今後の活動の方向性もワクワクですか。

 支援している中小企業を集めて、物産展をやりたいんですよねぇ。まだまだアイデアのレベルで具体化はできていませんが。中小企業にとっては絶好のPR・売上向上の機会になりますし、参加している皆さんには良いものを色々と見てもらえる。そして私自身も良いものを見たり食べたりできるじゃないですか(笑)。そうやって自分自身もワクワクしながら、そのワクワクを顧客企業やその先にいるお客さんとも共有していける、そんな仕事をこれからもして行きたいですね。
 農業関係や医療・福祉関係で、診断士のような活躍を期待されるポジションが望まれています。診断士は経済産業省所管の資格ですが、このような背景から農林水産省や厚生労働省で、診断士と同じようなポジションの資格が企画され、いずれは、”競合“となる可能性が考えられます。
 このように、活躍の場が広がっていくことは間違いありません。それをいかにして具体的な仕事にしていくか、協会および診断士1人1人の努力や成果が問われることになるでしょう。

―今後、協会はどのように変わっていくと思われますか。展望などありましたら教えてください。

 これまでは協会会員にいかにサービス、例えば研修や講演会を提供するかが活動の主体でした。これはこれで大事なことですが、今後はサービスを提供するだけでなく、いかに「活躍できる場」を提供できるかにシフトしていくことになると思います。例えば、企業内診断士のプロボノ活動がこれにあたります。企業内の人にどうやって活躍してもらうかが大きなテーマです。おそらくですが、研究会同士の連携も進んで行くのではないでしょうか。
 一方では各都道府県協会の連携が強まっていくと思います。受託事業や補助金が関係するものは地域単位で完結する必要があり、連携は考えにくいですが、例えば地域をまたがって事業展開している企業や団体を支援する際に、地理的にも関係性的にも他府県の協会と連携した方が良いことがあります。
 また、先ほどの海外研修とも関連しますが、海外に進出した企業や団体の支援についても考えていかなければなりません。インバウンド、アウトバウンドの海外展開は国家戦略です。それをどう後押しできるか、協会としてもオフィシャルに検討を進めています。来年には海外委員会を立ち上げる予定です。


 

インタビュアーあとがき

 最終回、いかがだったでしょうか。前回に引き続き、なるほど!と思わせていただくことが多く、診断士として活動していく心構えを教えていただくことが出来ました。診断士の活動としても、枠を超えた活動や多様性の広がりを考えさせられる非常に良いきっかけとなりました。
 今また大きく、社会の在り方が変化する局面になっていることかと思います。その中で「社会をパッと明るく」という想いを、協力し、実現していきたいと思います。

 小野先生は最近事務所移転され、またお邪魔させていただく予定をしております。その際のお話や、今後は各メンバーからの様々な発信を予定しております。どうぞご期待ください!

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社会をパッと明るく” 
SANインタビューチーム

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