先払いサービスがワイヤーカード社破産に共通すること

先払いサービスとは

荒井竜哉です。

今回はコロナ禍でメディアを賑わした先払いサービス
先日破産申請をしたドイツのワイヤーカード社
財務面で共通することについて書きます。

まず、先払いサービスとは
今はコロナで行けない 飲食店や宿泊施設向けに、
消費者がお金を先に支払っておき、
後日サービス提供を受けるというものです。

飲食店であれば食事、宿泊施設であればホテルや旅館の利用です。

具体的なサービスサイトは
飲食店向けの「さきめし」、「AutoReserve
宿泊施設向けの「あと宿」、「CHILLNN
などがあります。

いずれのサイトも、
新型コロナで今は行けないので
お金を先に払うことで
旅館や店舗の資金繰りを支援し
苦しい今を乗り越えよう
という主旨でサービス提供されています。

先払いサービスの注意点

こういった先払いサービスを利用するとき、
事業者はお金の意味を理解し、
注意する必要があります。

先にもらったお金はおそらく
今、賄いきれない人件費や家賃など
もろもろの支払いに充てられます。

ただ、そのお金はサービスを提供するためにもらった
「前受金」
です。

本来はサービス提供のためにいただいたお金を
サービス提供せずに目先の支払いに充てるわけです。

サービス提供ができないので
先払いでお金をいただいて資金繰りを回すサービスなので、
当然といえば当然です。

ただ、先払いで受け取ったお金はどんどん減っていきます。

そのお金の意味を理解し
十分に管理をしていないと
後になってサービス提供できないほど
大きな負債を抱えた状態になってしまいます。

ワイヤーカード破産に共通すること

ドイツのワイヤーカード社が
破産申請することになりました。

帳簿上、口座に入れていたという19億ユーロが存在せず、
債務超過が避けられないことから
破産申請に踏み切ったようです。

これは遠い外国の、フィンテックという新しい事業会社の
不正会計(かもしれない)話しとして
自社には関係ない」と聞き流す話しではありません。

不正会計(かもしれない)という経緯の違いはあっても
先ほどの「前受金」と、財務上の結果は似ています。

店舗から預かった「預り保証金」が資産(現金他)になり、

これが想定以上に(ワイヤーカード社の場合19億ユーロ!)少なくなったことで
資産が目減りし、債務超過に陥る。

債務超過になれば新たな借入も難しくなり
資金繰りがさらに苦しくなる、という悪循環。

もし、貴社が政府などの各種資金繰り支援や先払いサービスなどを活用して
「借りれるものは借りて」
「使えるサービスは使って」
と借入や前受金を拡大してきた場合。

一度立ち止まって
①ウィズコロナにおける今後の資金繰り
②前受金など、今後サービス提供が必要な資金(負債状況)
③ウィズコロナ/アフターコロナを見据えた事業投資
の三本柱でお金の棚卸しをしてみませんか?

先行きの見えないコロナ禍でも機動的に判断できるようになります。



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執筆者

荒井 竜哉|中小企業診断士
Arai Tatsuya

企業でのIT導入支援、運用支援を通じて、経営/業務課題の解決に取り組む。またコンサルティングファームで公的事業領域での事業計画、マネジメント支援にも従事。
マネジメントとオペレーションの両面から課題を解決することを心がけている。信条は「苦あれば楽あり」。



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