憧れの選手とサイクリング
以前にも紹介したZWIFTというアプリ、これはトレーナーに自転車をセットして、インターネットを経由してバーチャルな空間で世界中の人々とサイクリングができるというアプリですが、先日、このアプリ内で企画された、元プロサイクリストのレオン・ファン・ボンと走るイベントに参加してきました。
レオン・ファン・ボンは、1990年代から2000年代にかけてプロサイクリストとして活躍し、オランダ選手権を2度制しました。晩年は、香港のチームに所属しアジアのレースを中心に転戦、2012年40歳で引退しました。
彼の活躍した1990年代から2000年代、ヨーロッパのサイクルロードシーンでは多くのスーパースターが輩出されました。ツールドフランスを7勝したランス・アームストロングを筆頭に、ツールドフランドル、パリ・ルーベをそれぞれ3勝したヨハン・ムセウ、1998年にダブルツールを達成したマルコ・パンターニ、2年連続パリルーベを制したアンドレア・ターフィ等々、挙げれば枚挙にいとまがありません。 彼らは圧倒的な強さや個性的は走り、時には世間から注目を集める言動で彼ら自身のブランドを形成し、その名を確固たるものにしていきました。
1990年代当初、私がヨーロッパのレース事情を入手するには、イギリスから友人宅に数か月遅れで届く自転車雑誌が頼みの綱でした。その雑誌が取り上げる記事ももちろんそのスーパースターたちのものが中心で、レオン・ファン・ボンという名は、なんとなく知っているといったぐらいでした。
ブランド連想
あるブランドから消費者がそのブランドに関して連想するすべてのことをブランド連想と言います。連想する内容はポジティブなものからネガティブなものまで、また連想の強弱も様々です。ブランドについて連想されることがポジティブなものが多くそれが強く連想される場合、ブランド力が強化されている状態になります。
1990年代、先ほどのスーパースターたちの名前を聞いた時、私は圧倒的な強さや速さ、派手なレースパフォーマンスを連想していました。いわば彼らはスポーツ選手として、ブランド力が強化された状態にあったと言えました。たいして、レオン・ファン・ボンの名前を聞いても、玄人受けする渋い選手程度のもので、強く何かを連想するということはありませんでした。
ブランド力の失墜と醸成
1990年代後半から、ヨーロッパのロードレース界にドーピングスキャンダルの嵐が吹き荒れます。プロサイクリストに対して常にドーピングの疑惑の目が向けられ、さきほどのスーパースターたちも引退後に次々とドーピングへの関与を認めました(マルコ・パンターニはドーピング疑惑の渦中に死亡)。これによって彼らの名前を聞いたとき、私はすくなからずドーピングというネガティブなことを連想をするようになりました(それでも彼らに対するリスペクトの気持ちは変わりませんが)。では、レオン・ファン・ボンはどうでしょうか?彼はドーピングスキャンダルが吹き荒れるさなか、自分はクリーンだと言い続けました。これにより、私の中でレオン・ファン・ボンはクリーンという、一つのブランドが出来上がりました。わたしがアプリ内でレオン・ファン・ボンの名前を見たとき、興奮を抑えきれませんでした。引退して約8年、彼のブランドは私の中でさらに醸成されていたようです。
話は戻ってサイクリングの話
3時間以上あったイベントの最中、彼は自分のことをよく話してくれました。そのなかで印象に残った言葉があります。40歳まで競技を続けてきた理由の一つとして、「旅が好きだった。」と言うことを述べていました。ヨーロッパのプロサイクリストはシーズンが開幕すればヨーロッパ各地を転戦します。そのことが勝利以上に競技を続けるモチベーションになっていたのなら、彼がクリーンでいたという主張にも納得ができます。今現在も自転車ロードレース専門のフォトグラファーとして、ヨーロッパ各地を旅しているようです。好きなことをやりづづけるレオン・ファン・ボン、私の中でまた彼のブランド力が強化されていることを感じました。
数か月遅れの雑誌から情報を得る時代から、同じ空間を共に過ごせる時代へ
90年代は雑誌等のメディアから情報を得ることしかできませんでしたが、ITの発展により顧客に直接アプローチできる時代に変わりつつあります。スポーツ×ITの力でまだまだできることはある、そう感じさせてくれたイベントでした。
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執筆者
山本 篤司|中小企業診断士
Yamamoto Atsushi
要件定義からテストまで、全行程をこなすIT系エンジニア。お客様からは、問題意識の高い技術者と評価を得ている。
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