ユーハイムの新規事業
こんにちは。
製造業の業務改革支援に取り組みながら、
中小企業診断士として業種を問わず、
事業者様の支援をしています。
荒井竜哉です。
洋菓子のユーハイム、ご存知でしょうか。
バウムクーヘンで有名ですが、
バウムクーヘンは機械化が難しいお菓子のひとつだそうです。
ユーハイムはそんなバウムクーヘンをだれでも焼ける専用オーブン
「THEO(テオ)」
を開発し、リースする事業を始めました。
事業化に至るまでの苦労や、事業のビジネスモデルから
ユーハイムを取り巻くお菓子業界の状況や
業界を盛り上げていこうとするユーハイムの思想が見えてきます。
事業化までの道のり
バウムクーヘンは生地を焼き上げる際、
何層にも渡って一定の焼き加減を保つ必要があり、
ムラなく焼き上げるには職人の長年の経験と勘が必要です。
「THEO」では職人が判断する焼き加減の状態や味について
画像データを用いて識別、AIに学習させ
製造の自動化に成功しました。
しかし、AIに学習させるためには膨大な画像データと
その判定をする必要があります。
職人にとってはこれまでのノウハウをさらけ出すものであり、
「そもそもなぜお菓子作りではなくオーブンづくりに取り組まないといけないのか?」
と反発も強かったようです。
それでも、
「どこでもおいしいバウムクーヘンを作れるようにする」
という目標に粘り強く取り組み、
「TEHO」の商品化が実現しました。
商品の機能以外に、注目したいのがビジネスモデル
こうしてバウムクーヘンが自動で作れるようにできたわけですが、
商品の機能面ではなく、
ビジネスモデルにおいて注目したいポイントが2つあります。
1つはお店に合わせたカスタマイズができること。
導入の際、ユーハイムの職人が出向いて
バウムクーヘンに対するお店の要望を聞き、
各店に合わせた焼き具合や味を再現できるよう
学習させます。
生地についてもお店が自由に種類や配分を変え、
自分たち好みのバウムクーヘンを作ることができます。
目先の収益を考えれば、
焼き方や味も自社のものに固定し、
自社の生地を納入するように縛ることもできたはずです。
そんなことはせず、
あくまでお店が目指すバウムクーヘンを提供できるように
支援するのが「TEHO」です。
またもう1つはユーハイムとお店の収益ポイントが一致していること。
設備はインターネットに接続されており
製造本数は遠隔で把握できるようになっています。
バウムクーヘンの製造本数に応じて
ユーハイムが使用料を受け取る仕組みになっています。
つまり、
お店がバウムクーヘンを作れば作るほど、
=商品が売れれば売れるほど、
=お店の収益があがればあがるほど、
ユーハイムも儲かるようになっています。
お店の成長がユーハイムの成長と一致しています。
お店は顧客であり、
ともに成長するパートナーであることがわかります。
業界を盛り上げる、ユーハイムの新規事業
ユーハイムが「THEO」を開発するに至ったきっかけのひとつに、
競争激化で町の洋菓子店が減少し、
洋菓子業界そのものが衰退していくのではないか
との危機感があったそうです。
バウムクーヘン市場がしぼんでしまえば、
洋菓子文化も廃れてしまう恐れもあります。
そんな思いから開発された「THEO」には
- カスタマイズできる設備
- 職人がサポートする体制
- ビジネスモデル
これらにユーハイムの考えが反映されています。
「TEHO」の普及で洋菓子業界やバウムクーヘンを
盛り上げていってほしいですね。
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執筆者
荒井 竜哉|中小企業診断士
Arai Tatsuya
企業でのIT導入支援、運用支援を通じて、経営/業務課題の解決に取り組む。またコンサルティングファームで公的事業領域での事業計画、マネジメント支援にも従事。
マネジメントとオペレーションの両面から課題を解決することを心がけている。信条は「苦あれば楽あり」。
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