ユーハイムの新規事業
こんにちは。
製造業の業務改革支援に取り組みながら、
中小企業診断士として業種を問わず、
事業者様の支援をしています。
荒井竜哉です。
洋菓子のユーハイム、ご存知でしょうか。
バウムクーヘンで有名ですが、
バウムクーヘンは機械化が難しいお菓子のひとつだそうです。
![](https://san-shindanshi.com/wp-content/uploads/2021/10/d34027-43-105764-0.jpg)
ユーハイムはそんなバウムクーヘンをだれでも焼ける専用オーブン
「THEO(テオ)」
を開発し、リースする事業を始めました。
事業化に至るまでの苦労や、事業のビジネスモデルから
ユーハイムを取り巻くお菓子業界の状況や
業界を盛り上げていこうとするユーハイムの思想が見えてきます。
事業化までの道のり
バウムクーヘンは生地を焼き上げる際、
何層にも渡って一定の焼き加減を保つ必要があり、
ムラなく焼き上げるには職人の長年の経験と勘が必要です。
「THEO」では職人が判断する焼き加減の状態や味について
画像データを用いて識別、AIに学習させ
製造の自動化に成功しました。
しかし、AIに学習させるためには膨大な画像データと
その判定をする必要があります。
職人にとってはこれまでのノウハウをさらけ出すものであり、
「そもそもなぜお菓子作りではなくオーブンづくりに取り組まないといけないのか?」
と反発も強かったようです。
それでも、
「どこでもおいしいバウムクーヘンを作れるようにする」
という目標に粘り強く取り組み、
「TEHO」の商品化が実現しました。
![](https://san-shindanshi.com/wp-content/uploads/2021/10/d34027-43-486991-2.jpg)
商品の機能以外に、注目したいのがビジネスモデル
こうしてバウムクーヘンが自動で作れるようにできたわけですが、
商品の機能面ではなく、
ビジネスモデルにおいて注目したいポイントが2つあります。
1つはお店に合わせたカスタマイズができること。
導入の際、ユーハイムの職人が出向いて
バウムクーヘンに対するお店の要望を聞き、
各店に合わせた焼き具合や味を再現できるよう
学習させます。
生地についてもお店が自由に種類や配分を変え、
自分たち好みのバウムクーヘンを作ることができます。
目先の収益を考えれば、
焼き方や味も自社のものに固定し、
自社の生地を納入するように縛ることもできたはずです。
そんなことはせず、
あくまでお店が目指すバウムクーヘンを提供できるように
支援するのが「TEHO」です。
またもう1つはユーハイムとお店の収益ポイントが一致していること。
設備はインターネットに接続されており
製造本数は遠隔で把握できるようになっています。
バウムクーヘンの製造本数に応じて
ユーハイムが使用料を受け取る仕組みになっています。
つまり、
お店がバウムクーヘンを作れば作るほど、
=商品が売れれば売れるほど、
=お店の収益があがればあがるほど、
ユーハイムも儲かるようになっています。
お店の成長がユーハイムの成長と一致しています。
お店は顧客であり、
ともに成長するパートナーであることがわかります。
業界を盛り上げる、ユーハイムの新規事業
ユーハイムが「THEO」を開発するに至ったきっかけのひとつに、
競争激化で町の洋菓子店が減少し、
洋菓子業界そのものが衰退していくのではないか
との危機感があったそうです。
バウムクーヘン市場がしぼんでしまえば、
洋菓子文化も廃れてしまう恐れもあります。
そんな思いから開発された「THEO」には
- カスタマイズできる設備
- 職人がサポートする体制
- ビジネスモデル
これらにユーハイムの考えが反映されています。
「TEHO」の普及で洋菓子業界やバウムクーヘンを
盛り上げていってほしいですね。
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執筆者
荒井 竜哉|中小企業診断士
Arai Tatsuya
企業でのIT導入支援、運用支援を通じて、経営/業務課題の解決に取り組む。またコンサルティングファームで公的事業領域での事業計画、マネジメント支援にも従事。
マネジメントとオペレーションの両面から課題を解決することを心がけている。信条は「苦あれば楽あり」。
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