みなさまこんにちは!
お久しぶりです。
私たちの拠点がある大阪では外国からの観光客がたくさん訪れてくださっています。普通の暮らしがぼちぼち戻りつつあるなぁと感慨深くその光景を見ています。
さて、早速ですが、今回は、「NPO法人子育ては親育て・みのりのもり劇場(以下「みのりのもり」)」さんへ取材に伺いました。「みのりのもり」と私たちSANの出会いは、この木製のSDGsバッジに端を発します。
SANでは、以前より、関西万博やSDGsに取り組む事業者さんの支援を模索していましたが、その過程で、このSDGsバッジの制作に携わる「みのりのもり」と出会いました。
このバッジは、みやこ杣木(そまぎ)という京都産のヒノキの間伐材を活用しており、森を守りつつ、障がいのある人たちの多様な働き方を支援する目的で企画制作されています。京都の障がい者施設が仕上げ作業を担当しており、誰でも手に入れることができます。
(https://minorinomori.base.ec/)
私たちがお邪魔したのは、「みのりのもり」事務局の1Fにある“キネマ・キッチン”。その名の通り映画をテーマにしたカフェです。
地域のお母さんたちが、地元野菜を使った手作り料理を提供しており、「かつライス」が看板メニューになっています。このネーミングは、超大物俳優の勝新太郎と市川雷蔵の「勝」と「雷」をかけあわせてつけたそうです。
創業メンバーの森さんと西田さんから、これまでの活動の歴史をうかがいました。笑いあり涙ありのお話は、まさに映画そのものでした。
詳細情報
電話番号:075-871-6556
住所:〒616-8167 京都市右京区太秦多藪町43
営業時間:11:00〜18:00
定休日:年末年始
みのりのもりの成り立ちと詳細
素敵なお店ですね。こちらは、施設運営を受託しているのでしょうか?
みのりのもり:いいえ違います。 商店街と協働で開設して現在は、私たちNPO法人が自主経営をしています。
このあたり(太秦)は、1900年代前半から撮影所が立ち始め、1940年代の大映京都撮影所開設から日本映画の興隆が最高潮を迎えました。大映通りは日本のハリウッドと呼ばれ、映画人が行き交う華やかな商店街だったそうです。
ところが、ご存知の通り、日本映画が往年の人気を失った影響で、この辺りも元気を失いつつあり、私たちも一市民として少し寂しく感じていました。商店街では根気強く活性化活動を続けておられ、私たちも振興組合の一員として、積極的に取り組みに参加していこうと企画提案したり、補助金申請のお手伝いをするようになりました。
そんな中、当時の組合長が「大魔神の等身大レプリカがある」と話してくださいました。京都で映画祭が開催されたときに制作され、そのまま制作会社の倉庫に眠っていたそうです。「その大魔神に、生まれ故郷の大映通りに帰ってきてもらったら、地元の人や映画ファンが喜んでくれるんではないか?!」と。
版権元の角川書店さんからも「地域活性化のためならば・・」ということで、大魔神設置の許可を特別に頂くことができ、なんとか実現にこぎつけました。
続いて「ただ、オブジェが設置されているだけでは面白くないよね。」という話になり、常設の展示スペースも作ることになりました。それが、映画好きが集まれる飲食店であるここ、”キネマ・キッチン”なんです。
なるほど。それで、キネマ・キッチンの2階が「みのりのもり」の事務所になっているんですか?
みのりのもり:逆なんですよ。もともと、2階に事務所があり、1階は空き店舗だったんです。以前は、化粧品店だったそうで、鏡張りの壁を自分たちで割って木製の壁に変えたり、床板も買ってきて張り替えたり、子どもたちにも手伝ってもらって、できるだけ自分たちでやりました。
商店街の皆さんと協業するなんて、とても大掛かりな取り組みですね。そもそもは幼稚園の保護者の集まりということでしたが、「NPO法人子育ては親育て・みのりのもり劇場」誕生秘話についてお聞かせください。
みのりのもり:この近くに“自然幼稚園”という素敵な幼稚園があり、私たちはそこのPTA仲間でした。その自然幼稚園には「園長先生の会」という、保護者が子育ての悩みを相談できる場がありました。しかし、思ったほど相談にきてくれる保護者が集まらず、私たちPTAのOGOBに相談がありました。
本当に来てほしい、困っている人たちはなかなか来てくれないものなんですよね。そこで、私たちが考えたのが「お母さんたちによる、お母さんたちのためのセミナー」でした。自分たちの日々の子育てをお芝居にして、それを題材にして子育ての悩みについてディスカッションをしたらどうだろう?と発案しました。それが保護者向けの“子育てJOYトーク”です。また、園長先生には「卒園児が帰ってこられる場があれば…」という思いもあり、それは私たちも同じ気持ちでした。そこで、小学生から中学生を対象に“みのりのもりチャレンジキッズ”という、子ども向け知的経験プログラムをスタートさせました。
お芝居って、結構大胆な企画ですね。みなさん、ご経験者だったのですか?
みのりのもり:いえ、誰も(笑)。誰かが何気なく言った一言がきっかけでした。
「お芝居とかしたらどない?相談しやすいのと違う?」
脚本とかお芝居とか誰も経験なんてなかったんですけどね(笑)「子育て相談会やります」「講座やります」って呼びかけて、来てくださるお母さんは、すでに問題意識をお持ちのお母さんであることが多いんです。ですから、「そういった呼びかけに参加されないお母さんに、どうしたら参加してもらえるか?」ということを真剣に考えました。
きっかけは、森さんから西田さんに「お芝居やらへん?」って送った一通のメールでした。すぐに「マネージャー通してくれる?」って返信が・・・これで演者が決まりました(笑)
初演の結果はいかがだったのですか?
みのりのもり:当日は、大勢のお客さんが来てくださって、どっかん、どっかんの大ウケでした。一方で、悲しいシーンでは、泣き出すお母さんまでおられて・・私たちが驚くくらいの大盛況だったんですよ!
人って笑ったり泣いたりすると、心がほぐれるみたいで、その後のディスカッションでは気取らず、内容の濃い意見交換ができました。お芝居を見て、まわりが笑っているのを見て「あぁ、他のお母さんも同じなんだな」と感じてもらえたのだと思います。
これが、「みのりのもり劇場」誕生の瞬間なんですね。ところで、この名前はどこからつけたのでしょうか?由来について教えてください。
みのりのもり:幼稚園のイベントの名前が”みのりの会”だったので、そこからいただきました。“実る”という言葉には、”成果”であったり、”育てていく”であったりの意味がありますし、やがてそれが森になるって、「とても素敵だね」とみんなで話して決めました。
劇場は、私たちのお芝居では、それぞれが主人公だし、それぞれが誰かの脇役だし、お芝居そのものもいろいろ登場人物で成り立っているというようなところから「人生は劇場だ」と考えました。
また、「子育てを子どもたちだけに着目して、子どもを変えていこうとするのはナンセンスだよね。子どもたちが育つ環境は、私たち大人そのものだから、大人が変わることのほうが先じゃない?」という想いから”子育ては親育て”という言葉が付きました。
今後もこの活動は継続していこうと、そして、継続するにはきちんとした組織にしたほうがいいという話にもなり「NPOでやろうと思うんだけど」というアイデアが代表から出ました。はじめは、「井戸でも掘りに行くの!?」って聞いたくらいNPOのことを何も知りませんでした。つまり、途上国に井戸を掘りにいくNGOと混同してしまうくらい知識がなかったのです。そこから15年以上になります。
あとがき
皆様いかがだったでしょうか?地域活性化のために、未経験のお芝居に挑戦されるなど非常にバイタリティのある行動力に素直に尊敬しました。みのりのもりの名前の由来もとても素敵でしたね。
さて、次回はみのりのもりさんがどのような想いで事業を展開されてきて、事業を大きくされてきたのか。事業をされている方にとってもどうでない方も非常に興味のある内容となっています。お楽しみに!
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