次の”スモールM & A”では、ぼくが注意しようと考えていること

みなさま、こんにちは、ワクチンの接種率が50%を超えたとの報道を目にしました。すでに、私の活動拠点である大阪では、飲み屋さん以外は、徐々に元の日常を取り戻しつつあります。感覚的な話ですが、大企業やベンチャー企業、フリーランスがリモートワークをしている以外は、普通に通勤しているような印象です。具体的に言うと大阪の真ん中を走る地下鉄のラッシュ時はつり革が空いていないくらいの混雑具合です。
政治は世論の顔色を見ていると聞いたことがありますが、政府や自治体も「重傷者もまだまだいるけれども、もう普通の暮らしを再開する準備をしましょうかねぇ?」と探りを入れてきています。
我々ビジネスパーソンは、外部環境の変化に抵抗しても何も得るものはありません。変化を味方につけて社会に価値を生み出してまいりましょう。あなたのちょっとした変化を応援しています、山本哲也です。

今日は、近年話題になっている個人が会社を買って独立するスモールM&Aについて最近聞かれることが増えたので、そのあたりについて書いてみようと思います。

目次

どのような業種がよいのか?


もちろん、あなたが、何を目的にしているか?や個人的価値観によって“ベストな選択”は、変わりますが、M&Aで取り込んだビジネスを安定的に進めるという前提で考えてみます。その前提に立つと、学生や社会人での経験を通じて知っている業界や身近な業種だと、自分の経験を活かすことができるため第一候補となると思います。いわゆる“強み”を活かす方針です。また、強みの活かし方としては、個人のスキルや資格を活かす方向性も考えられます。例えば、全く異業種だけれどもIT化が遅れている会社に対して、自分のITのスキルを融合させることでその会社を新たなステージにアップデートすることができそうだから、という視点もありそうです。

とは言え、安定したサラリーマン生活からの転身です。スムーズなスタートを切りたい方が多いのではないでしょうか。一般論にはなりますが、リスクの少ない業界やリスクの少ないポジションの会社はありますので知っておきましょう。例えば・・・

固定客があり、毎月一定の売上が見通せるストック型のビジネス

不確実性の高い、今の経済環境下では、ある日突然、これまでやっていたビジネスが通用しなくなったり、不要になってしまうことが発生してもおかしくはありません。
例えば、今回の新型コロナウイルス感染症拡大などが、大きな環境変化と言ってよいでしょう。今回の変化ではその時期ごとに違う業種業態が大きなダメージを受けました。感染拡大初期段階では、スポーツクラブやカラオケ。その後、緊急事態宣言の発令を受けて、飲食店関連のビジネスや観光業へと波及し、人の行動パターンや意思決定ロジックといった生活スタイルが変化したことで、美容関連やアパレルにまでその影響は拡がりました。一方でプラスになった業界もあります。動画配信などの情報通信や、フードデリバリーや物流業界などがその一例です。
万一、このような大きな環境変化が発生しても、会員のような固定客があれば、その環境変化に応じて変わる顧客の要望を受けて、業種業態の変更、提供価値の変更をすることは決して不可能ではありません。そのような意味でリスクの少ないビジネスモデルです。また、別の観点になりますが・・・

規模のメリットが働く業種や小商圏の規模の小さな企業が集まっている業界

ちょっと難しい表現になってしまいましたが、つまり、地元密着のスモールビジネスがこれに当てはまります。つまりすでに行っているビジネスにおいて同業他社を取り込んで、顧客だけを譲り受けたりするイメージです。規模の拡大により増加する固定費が小さく、限界利益の増加分をそのまま営業利益として取り入れることができるケースです。例えば・・・。飲食店向けの酒屋さんが、別の酒屋さんや食材問屋をM&Aすれば、単にお客さんが増えるだけだったり、1軒の飲食店に納品する飲み物や食材の酒類が増えるだけですので、非常にリスクの少ない取り組みになります。社内体制の特徴からみるとこんなことが言えると思います。

ワンマン社長ではなく、権限移譲が進んでおり組織で会社が回っていること

 ワンマン社長がダメ!というわけではありませんが、できれば避けたい理由は、2つあります。まず、成功ノウハウを社長だけが理解していて暗黙知になっており、うまく引き継げないことが考えられます。また、社長がトップ営業マンとして長年活動しており顧客とつながっているため、社長の退職と同時に顧客が離れてしまうというリスクが考えられます。加えて、創業者のファンだった従業員がM&Aを機会に退職してしまって事業継続ができないということも考えられます。次に財務面で見ると・・

売上や利益が安定しており、わずかでも資金繰りに困っていないこと”そして“借入金が売上の30%以下であること

 当たり前の話ですが、M&Aによりあらゆる面で不確実性が増します。M&Aの費用を捻出するのに精いっぱいで資金的な余裕がなくなっている状態で、毎月のようにキャッシュアウトしていくような企業は、避けましょう。赤字でも会社は倒産しませんが、資金返済が滞れば突然倒産ということは十分にあり得ます。精神的に相当タフでなくては、事業を好転させることは難しくなるでしょう。数年以内の投資回収が確実なものでなくても、まずは、自分の役員報酬を確保した上で少しの黒字が出せるくらいは目指したいところです。とにかく、資金繰りに走り回るのではなく、新しい価値づくりに全力投球できるような会社をお勧めします。
一方で借入金は少なければ、安心感はありますが、それは金融機関からの信用がないとも言えます。もし、大きな借入金があっても、短期的な運転資金や返済のめどがたっているものであれば、あったほうがよいと考えるべきです。交渉の過程では・・

売り手側が質問に対して誠実かつ迅速に対応してくれることや交渉を急がせてこないこと

大きな買い物ですのでビジネスパートナーとして信用できるかどうかは、大切にとらえたいポイントです。私見ですが、M&Aのような大きな取引のときは、“悪い直観や虫の知らせは信じましょう”また、あらかじめ、客観的な判断基準を設定しておき、その基準を下回ったら、自動的に取引終了とすることも誤った判断をせずに済むコツだと思います。

いかがでしたでしょうか。
今回は、当たり前の話ばかりになってしまいました。申し訳ありません。しかし、案件が進んでくるとどうしても「せっかくここまで進めたのだから・・」「相手も乗り気だし・・」などという心理が働きます。交渉が進むごとに当初描いていたゴールイメージと乖離がないかを確認しつつ、商談を進めるようにしてください。
第三者、できれば専門家に相談することも成功確率を高める一つの手段であると思いますのでセカンドオピニオンとしてもお勧めします。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

執筆者

山本 哲也|中小企業診断士
Tetsuya Yamamoto

日本で最も早くフランチャイズチェーンシステムを取り入れ普及させたフランチャイザーに1989年から勤務。清掃スタッフを皮切りに,全国のフランチャイズ店の育成・指導,事業計画の策定,新規事業開発,法人営業などを経験。“リーダーの能力を超える事業成長はない”と考え,人の成長ありきの支援を実施。趣味は,アウトドア全般と飲み歩き。とにかくじっとしていられない。

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