イントロダクション
はじめまして!中小企業診断士(以降、「診断士」)の田中誠人と申します。私は俗に言う企業内診断士という者で、普段は会社員勤めをしつつ、就業後や休日に中小企業診断士として活動しています。
とは言え、診断士の活動はこのSANでの活動(今のところ全然お役に立てていませんが……)と某大手予備校での講師業務程度です。今後活動の幅を拡げていきたいと考えておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
さて、本タイトルの「なんかコミュニケーションがうまくできないんですけど!?」についてお話します。どういったお話かと言いますと、「我々は日常結構な頻度でコミュニケーションを取っているようで、実は取れていないんじゃないか?」ということです。ん?ん?ん?何か言葉遊びみたいで分かりにくいですね……。つまり、表面的には会話が成立しているように見えるものの、奥底の想いに関してはズレが生じてしまっているのではないかということです。最近私が会社・家庭・交友関係のなかで実際にあった具体例を交えて説明いたします。
事例紹介・解説
事例1
Aさん「あぁ、もう!子供が全然寝てくれない……やらないといけない家事がこの後いっぱいあるのに!!」
Bさん「だったら、床掃除は明日にするか、クイックルワイパーで拭くだけで水拭きはやめとこか。今のところそんなに汚れてないで?それじゃあ床掃除もそうだけど、風呂掃除もするわ。」
Aさん「疲れた……全然休む時間がない……全部終わらせないと休めない……休みたい……」
事例2
Cさん「新事業はとにかくスピード感を持って、どんどん実証を行い、ユーザー意見を取り入れつつ製品改良を行うべきです!そのためには柔軟かつ迅速な意思決定が必要です。そんな評価プロセス・仕組みを作りませんか?」
Dさん「とは言え、新事業にリスクは付き物だ。幅広い観点からリスクを評価してもらうことが必要だろうな。」
Eさん「おっしゃる通りです、では機能別の各部門長にも会議に出席していただきましょう。そうすればリスクを大方洗い出すことができます。」
Dさん「いいアイデアだな!とは言え部長クラスは最新の実務に通じているわけではないので、課長クラスも召集すべきではないか?」
読者の方々も似たようなやり取りを見かけられたことがあるのではないでしょうか?これらは両方とも最近私の身の回りで実際にあったやり取りです。私は学者ではないので、そこまでアカデミックな分析ができるわけではないのでご了承ください。
事例1の解説
Aさんの目的が少しややこしくなっていますが、突き詰めていくと「家事がなく心穏やかに休める環境を作り出す」というのが目的です。そのためには、いくつかの手段が考えられます。Aさんがここで奮闘して頑張って家事を終わらせる、Bさんと協力・作業を分担して家事を終わらせる、一部家事を先延ばしやレベル感を落とすことで省力かつ短時間で家事を終わらせる等々です。他にも経済的余力があれば家事代行サービスを頼む等、いくらでも手段は存在します。
しかし、Aさんは「自分で家事をやりきる」ことに執着してしまっているように見えます。Aさんも我々もそうですが、目の前に大きな問題が存在すると、どうしても視野が狭くなってしまいます。そのため、時には心理的負担が大きくなり、最悪の場合メンタル状態に異常が発生してしまいます。
それではどうすればいいのか、そうです、Bさんのような外部視点で物事を捉えている人に助言や支援を頼むことが苦境脱却の手立てですね。立場の違う人、視点や視座が異なる人に相談することによって、また自分とは全く異なる経験知識を保有する人に相談することによって、自分では思いもよらなかったような解決への糸口が示されることが往々にしてあります。よく言われる、煮詰まった時こそ冷静になろう、気分転換をしよう、というのも自分のなかでの視野・視点・視座を変えるということなんでしょうね。
事例2の解説
Cさんの目的は「新事業を迅速に進めること」でした。しかし、DさんとEさんの目的はどうでしょうか?「新事業におけるリスクを抑える」ことになっているように感じます。リスクを抑えるための対策を打つべきだ、であればまだCさんは納得できるかもしれませんが、「洗い出す」という言葉が示すように、ひたすらリスクだけ列挙して何ら対策を講じない、いわば新事業を進めるための前向きな議論がなされてない恐れすらありますね。
大企業は事業別・機能別に組織が分かれており、それぞれの立場の違いからこのように各自の目的が異なることがよく起こりえます。発議者は、参加者全員が自分と同じ目的を共有できていると思い込んで話を進めないようにしないといけません。タイミングごとに理解についての確認を取る等の対策が必要です。そうしないと、出だしは良かった会議も終了時には意見がバラバラ、という悲惨な状態になりかねません。そうした個別の対応もあれば、会社単位としては成長戦略・事業計画・アクションプランといった全体方針・施策方針を打ち出すことによって全社員の目の向く方向を揃えるという対応もあります。
まとめ
こうした“なんかねじれたコミュニケーション”は家庭でもビジネスでもしばしば起こりえるものです。会話となるとすぐヒートアップしていた私ですが、最近は年の功かいささか落ち着いて周りを見ることができるようになってきました。以下が、こうした“なんかねじれたコミュニケーション”を回避するため、私が考えたポイントです。
・自分と相手の目的を把握する、徐々に是正していく
・目的と手段を明確に区別する
・手段が目的とならないよう心掛ける
・空の上の神様とまではいかないが、飛ぶ鳥くらいの高さから俯瞰するイメージを持つ
どれもビジネス書で当たり前に言われることばかりです。先の事例含め私の実体験のなかでこれらに関するトラブルが山ほど生じているということは、いかにこれらが基本的な事項であるか、を示している証拠です。問題の真因を突き止めて、その解決策を提案するコンサルタント・診断士として、これら基本事項は徹底するようにしていかないといけませんね。
最後に、鋭い読者の方は気づかれたと思いますが、本記事の75%は愚痴でできています……。
みなさん、基本事項をしっかりと身に付けて、自分にも他人にも余計なトラブルによるダメージが生じない、優しい世界を作っていきましょうね!(切実
ブログ村ランキングに参加しています!
少しでもブログが役に立った!面白い!と思っていただけた方は、下のボタンを”ポチッ”と押して下さい!中小企業診断士が、より社会を”パッと”明るくするためにも、応援よろしくお願いいたします!
にほんブログ村 | 中小企業診断士ランキング |
執筆者
田中 誠人|中小企業診断士
Tanaka Masato
大手流通小売業における経営企画業務、大手ビジネスチェーンの事業企画・新規開発、大手製造業における事業企画と幅広い業種の経営に関する経験を持つコンサルタント。 特に管理会計、ファイナンスに強みを持つ一方で、現地現物主義をモットーにしている。歴史と旅行が趣味なシティボーイ?
コメント