こんにちわ、普段ITの現場で要件定義を行っていますが、そこで重要になってくるのが要件の具体化です。コンサルティングの現場でもよく使われています。改めてそのことが大切だと実感した出来事があったので、紹介させていただきます。
先日ある中小企業の情報担当者(ここではAさんとしておきます)から、相談を受けました。LAN環境で100台のPCを繋いで動かしたいのだけど、サーバーマシンはどのようなものを用意したらいいのかわからない。サーバーマシンを取り扱う業者数社に問い合わせても明確な回答が得られず、どうしたらいいのかわからなくて途方にくれているとのことでした。
これら業者はなぜ回答することができなかったのでしょうか?
冒頭でもお話ししたとおり、要件は具体化する必要があります。発注者から発せられる要件はあいまいなことが多く、あいまいなままでは伝える側と受け取る側で認識の相違が生まれやすくなるからです。
今回の、100台のPCをLANで動かすという要件、一見具体的とも思われますが、どこがあいまいでどうすれば業者から明確を得ることができるのでしょうか
?(明確な回答という表現じたいあいまいですが、ここではサーバーマシンの見積もりをもらうということにしておきます)
私の場合、5W1Hを使って要件を具体化していきます。まずこの要件で一番気になるところが、「What」「何を」です。
100台のPCを動かすといっても、そこで何をするのでしょうか?ウェブページを表示する、EXCELのようなアプリケーションを使って情報を共有する、ファイルサーバーとして利用する、用途は色々考えられ、それによってサーバーに求められる性能も変わってきます。
この点をAさんに問い合わせたところ、具体的な回答を得ることができました。
次に気になった点が「How」「どのように、どれくらい」の部分でした。どのようにについてはサーバーマシン1台のネットワーク構成と回答がありましたが(この回答には「Why」の問いかけが必要ですが、長くなるので割愛します)、「どれくらい」については回答が得られませんでした。どれくらいというのは、サーバーには秒間どれくらいのアクセスがありそれがどれだけ続くのか、そしてそのときサーバーはどのような状態であるのかというようなことです。
これらがあいまいなまま見積もりを要求しても、明確な回答が得られないのは当然のことです。
そこでまずAさんには、この「どれくらい」という部分を整理してもらうことにしました。
単位時間当たりのアクセス数やサーバーの稼働時間、クライアントへのレスポンスタイムやCPU・メモリ利用率など、あいまいであった部分をどんどん具体化していきます。
一通り具体化できたところでこれらをサーバーマシンを販売する業者にぶつければ明確な回答が得られるのでしょうか?答えはおそらくNoです。
これら具体化したことは、システム要件でありサーバーマシンに対する要件ではありません。このシステム要件を実現するためにサーバーマシンにはどういった性能が求められるかということを検討していかなくてはなりません。サーバーマシンというハードウェアの性能、それはつまりCPUはXXXでメモリはXXGBと具体的なハードウェア構成まで言及する必要があります。
ここまで具体化することができれば、業者から見積もりを取ることもできるでしょう。
Aさんにこれをするために何をしなければならないかを問い合わせたところ、試すしかないという返答が返ってきました。
後日Aさんから連絡があり、「やらないといけないことが明確になった。こういう方向でやっていこうと思うがあってますか?」と問い合わせを受けました。当初は何をやらなければならないかもわからず途方にくれていたAさんですが、要件を具体化することで具体的な行動が取れるようになりました。
サーバー業者への見積もりやAさんの行動からわかるように、要件を具体化することでとるべき行動も具体化することができます。
今MLBを沸かせている大谷選手もツールを使い自身の目標を具体化しそれらを行動にまで落とし込んでいました。この要件の具体化は、どこにでも活かせとても大切なことだと思うと同時に、最もやりがいのある部分だと感じています。
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執筆者
山本 篤司|中小企業診断士
Yamamoto Atsushi
要件定義からテストまで、全行程をこなすIT系エンジニア。お客様からは、問題意識の高い技術者と評価を得ている。
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