ビジネスアイデアを可視化する

こんにちは。
企業で新規事業開発に携わっている、nob.と申します。
新規事業開発部所属とはいうものの、目指すところは社内起業・社外起業という立ち位置なことから、 起業家の方々と比較的近い立場でビジネス立ち上げを考えているのかな~と感じています。

そんな事から今回は、起業を目指す方・副業で新しい事を始めたい方に向けて、リーンキャンバスというツールをご紹介します。
作成時私が普段気を付けているポイントもお話しますので、ぜひご覧ください。

目次

リーンキャンバスとは?

このリーンキャンバス、一言でいうと「ビジネスモデルを可視化する設計図」です。

エリック・リース 「実践 リーン・スタートアップ」 を参考に、筆者作成

私自身、ビジネスアイデアを発想した際はまずこのリーンキャンバスを書き起こすことにしています。
チームのメンバーにビジネスアイデアを説明する際も、基本的にこのキャンバスをもとに説明しています。
さらに言うと、決裁権者とお話する際もやっぱりこのキャンバスベースで説明する事が好まれると感じています。

理由としては、
・A4用紙1枚に書き起こすだけなのですぐに書ける
・ビジネスのアイデアが伝わりやすいフレームワークである
・①~⑨までのセクションに対し、現時点で発想が脆弱な箇所が一目で分かり、ブラッシュアップしていきやすい。
というところでしょうか。

リーンキャンバスの特徴

・短時間で書ける
繰り返しになりますが、やはりすぐに書けるところが特徴です。
1日で何枚も書いてみる事もあるくらい、さっと書けるところが魅力です。
(巷では「30分で書ける!」というコメントがありますが、所感では1~2時間くらいかなと思っています・・・)

・顧客課題が起点
実は、とてもよく似たビジネス設計図で「ビジネスモデルキャンバス」という物もあります。
「ビジネスモデルキャンバス」と比較した際のリーンキャンバスの一番の特徴は、ビジネスの起点を「顧客課題」であると設定している点であると考えています。
自社の既存のリソースからできる事を考えるのではなく、徹底的に顧客を見つめることからビジネスを考える事を大切にします。
対する「ビジネスモデルキャンバス」は既存リソースやコスト構造での優位性に重きを置いています。
どちらが優れているというものではなく、ケースバイケースで使い分けられると一層よいと思います。
個人的には、まずは「リーンキャンバス」を書くことが多いです。

・ピボットを考えやすい
①~⑨の項目のどこかを変更すれば、違ったビジネスモデルが生まれます。
はじめに作ったビジネス案がうまくいかない時、どこかの項目を変更すればピボットが可能です。
細かくピボットを繰り返してビジネスモデルを最適化していく、という作業を行いやすいツールです。
ピボットについては こちら

リーンキャンバスの書き方

リーンキャンバスは以下の9個の項目で構成されています。

①顧客が抱える課題
➁顧客セグメント
③独自の価値提案
④ソリューション
⑤圧倒的な優位性
⑥収益構造
⑦コスト構造
⑧KPI
⑨チャネル

まずは①②③を埋めることを目指します!
私は、顧客にどんな価値を提供するか?が兎に角大事で、やり方(=ソリューション)は試行錯誤しながら決めていこうという考え方でビジネス案を作成するようにしています。
従って、①~③を埋める事に80%の力を投入します!


※エリック・リース「実践 リーンスタートアップ」より筆者作成。以下、同著を参考に記載。

それでは、実際に順を追って見ていきましょう。

①顧客が抱える課題
想定している顧客が抱える課題を記入します。
一般的には、3個程度記入するとよいと言われていますが、私自身はあまりこだわっていません。
気をつけるようにしているのは、「できるだけ抽象度を上げた課題感を探るようにする」という事です。
表面化している課題にはすでに既存サービスが存在している事が多いです。
その既存サービスでは解決できなかったものを提供する必要があります。
根っこにある課題感・欲求を見つけられるようにする。
ここに時間をかけるのが重要です。そのことにより、市場にない新たな価値を提供できると考えています。

➁顧客セグメント
顧客は誰か?を解像度を上げて言語化するセクションです。
私のやり方としては、「デモ・ジオ・サイコ・行動パターン」
の4項目を埋めるように思考しています。

補足

・デモ=デモグラフィック変数。性別、年齢、居住地域、収入、職業、学歴など、その人のもつ人口統計学的属性をあらわす

・ジオ=ジオグラフィック変数。国・地域・都市の規模、経済発展・進展度、人口、気候、文化・生活習慣、宗教、政策などの要素で分類するもの。

・サイコ=サイコグラフィック変数。価値観、趣向、ライフスタイル、心理的特徴といった、“感性”の分野に強く結びつく要素で分類するもの。

※出典https://innova-jp.com/3607/

行動パターンについては、私は別途「カスタマージャーニー」というものを書いて可視化します。
行動パターンを可視化する事が一番大切かな~と思うので、掘り下げて考えるようにしています。
「カスタマージャーニー」については、次回以降で触れられればと思います。

③独自の価値提案
顧客に対しどんな価値を提供しようとしているのか、端的に表現するセクションです。
言い換えると、このビジネスの「どんな点に魅力を感じて、顧客がお金を払ってくれるのか?」を説明します。
「このビジネスを一言で表すキャッチフレーズ」を書いたうえで、どんなニーズに対応できるのかを記載すると伝わりやすいかなと思っています。

繰り返しになりますが①②③を言語化する事が重要と考えています。
ここまでの作業をじっくりやりましょう。
④以降は以後、顧客の声や実証実験などを通してどんどん書き換えていけばよいと考えています。

④ソリューション
課題の具体的な解決策を記入します。
誰に・何を・どのように の「どのように」の部分になります。
ブレーンストーミングなどを重ねて、たくさん発想していきましょう。

⑤絶対的な優位性
自社の強みで活かせるもの、外部リソースで活かせるものを洗い出して、このビジネスにおいて他社との差別化を図れるものを記入します。
リソースだけではなく、先行優位性も優位性の一つでしょう。
とはいえ、はじめは思いつかないかもしれません(私もそうです)。
ですが、ビジネスを継続していくにあたっては重要な要素になります。
今埋められなければ、「将来的に自社の優位性をどう築いていくか?」を問い続けるための項目と位置づけましょう。

⑥収益構造
マネタイズの構造を記入。誰から、いくらの料金を収受するのかを、顧客単価と頻度に分けて可視化します。

⑦コスト構造
変動費・固定費に分けて記入します
書きながら、損益分岐点はどうなりそうか?をイメージしておきます

※私としては初期段階においては⑥⑦をざっくり目に考えておくにとどめたいので、簡単にお金の流れだけを記載します。その際「ピクト図」というものを書き起こすのですが・・・「ピクト図」についても次回以降お話できたらと思います! 
 リーンキャンバスを何回も更新してブラッシュアップしていく過程で、上記のように細かく因数分解した収支構造を作りこんでことが多いです。

⑧KPI
この数字をクリアしたらビジネスとして成功!という指標を設定します。

⑨チャネル
どの顧客接点でビジネスを展開していくかを考えます。
顧客のペルソナ像、行動の流れを想像しながら、どんな媒体で顧客と接触するか考えます。
私は、プル接点とプッシュ接点の2面で考えるようにしています。


如何でしょうか?
アイデアをビジネスモデルとして可視化するイメージ、沸きましたか??

このコロナ禍において、新しいビジネス案を考えつく方も多いと思います。
こんな時こそ、新たなトライをする方が増えて欲しいなと思います。
この「リーンキャンバス」は思いついたときにさっと書き起こせるのが魅力です。
あなたのアイデアを書き留めてみませんか?
是非、はじめの一歩として試してみてください☆

参考図書
エリック・リース 「リーン・スタートアップ」
エリック・リース 「実践 リーン・スタートアップ」
田所正幸 「起業の科学 スタートアップサイエンス」
アレックス・オスターワルダー 他「ビジネスモデル・ジェネレーション」
近藤 哲朗 「ビジネスモデル2.0図鑑 」



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nob.|中小企業診断士
大手物流企業勤務。総務・労務・教育・採用の人事関連をひととおり経験。並行して物流企画・オペレーション構築をPJチーム的に担当。直近数年は経営数値管理が生業。2児の母。寝かしつけと共に寝落ちする毎日。AM3時からがハッピーアワー。



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