【取材記事】Fox X GLOBAL オティエノ フランシス(フォックス)さん その1

 今回、大阪府茨木市でEnglish学童「Fox X GLOBAL」を運営されている合同会社Foxx & Genus(フォックスアンドジーナス)の代表、オティエノ フランシス(フォックス)さんにお話しを伺いました。その内容を全3回でお伝えします。

 Fox X GLOBALさんは、大阪の北摂地域、茨木市にあります。English学童ということで、分類としては民間学童保育となります。学童保育は共働き家庭であっても、保護者の代わりに預かり適切な「場」を提供する保育サービスであり、Fox X GLOBALさんは、その中で英語を学ぶ「場」を提供されています。
 OPENは2019年4月。ホームページを見た時に、一番気になるのが、「STEAM教育」という教育方法を採用されていることです。最新のグローバル教育とのことですが、一体どういった内容なのでしょうか?また、遊びながら勝手に身につく英語の学童保育とのことですが、果たしてどのような環境を提供されているのでしょうか?中小企業診断士として、独自性を打ち出されたFox X GLOBALさんへのワクワクを胸に、取材をさせていただきました。

目次

Fox X Globalの成り立ちと詳細

それでは、まず初めにFox X Globalの成り立ちについてお伺いできますか?


フォックスさん:はい、そうですね、私は元々旅行会社のシステムエンジニアとして日本にきました。退職後、立命館大学の大学院に入学し、今は准教授として在籍しています。立命館大学では主にアントレプレナーシップについて取り組んでいます。アントレプレナーシップに取り組む中、教え子の一人が空き家問題に対してビジネスの観点で研究し、かつ地域活性化にも関わっていました。空き家を活用して地域活性化を図る、それに私がもともと行いたかった英語学童プロジェクトが組み合わさり、さらにそこに教え子たちが参画してくれた、というのがはじまりですね。教え子たちがまさか本当に一緒にしてくれるなんて、と思ったと同時にとても嬉しかったです。
 英語学童という“学び“を提供するのには、茨木が良いのではと考えておりました。茨木は、川端康成の出身地でかつ、北摂の公立高校の中でも評価の高い茨木高校があり、非常に学習意欲の高い地域です。そんな茨木で空き家問題に取り組んでいた時に、積極的に地域の活性化に関わっていた地主さんから、土地を貸してもらえることになりました。そこが現在の教室です。はじめは私を含め3名で運営していた教室も、今では8名(幹部3名)で運営するまでになりました。

なるほど。ターゲットや生徒数・コースはどのように分かれていますか?


フォックスさんターゲットは、幼稚園から小学生までですね。生徒数は今では80名ほど。コースとしては、幼児が対象のクリエイティブコース、小学生が対象のアドベンチャーコース、加えてドリームカムトゥルーという名のアドバンスコースがあります。それぞれ、20名・60名・7名在籍しています。

「楽しい」と「英語」で「チャレンジ」を創り出すとのことですが、具体的にどういったことでしょうか。


フォックスさん:まず、私は日本人の方にその高いポテンシャルを発揮してほしいと思っています。その為にも、「チャレンジ」をして欲しい。そういう想いからFox X GLOBALを運営しています。でも、実際にはそもそも教室に通い続けてもらわないといけない。
 じゃあどうやって通い続けてもらうかというと、生徒たちの「楽しい」を大切にすること。見てもらえば分かりますけど、教室は人工芝を活用し緑を基調としたリラックスの出来る開放感溢れた雰囲気にしています。ガリガリと勉強するんじゃない、とにかく楽しむことを優先して英語を学んでもらう。
 その上で、授業の中では自ら発表することを大切にしています。自分の考えを自分の言葉で、しかも英語でみんなに伝える。そのようなチャレンジの機会を与えるようにしています。

STEAM教育について

チャレンジと言えば、フォックスさんが積極的に取り入れられているSTEAM教育にも関連がありそうですね。STEAM教育について教えていただけますか?


フォックスさん:STEAMとは、Science・Tech・Engineering・Art・Mathの頭文字を繋げたものになっています。具体的な取り組みとしては、Scienceではスライム作りやシャボン玉実験、TechではVRを使った街歩きやプログラミングへの挑戦、Engineeringではピタゴラスイッチやからくり装置の作成、Artではフェイスペイントや外国の飴づくり、Mathではパソコンを用いた計算ゲーム、などですね。どれも楽しみながらも、なぜ、と自分で考える習慣がつく体験型のカリキュラムとなっています。これらを通じて、遊びながらスキルが身につくと同時に、体験を通じて英語のインプットアウトプットを行っているので、自然な英語が身につきます。

【STEAM教育の5大要素 https://foxx-global.com/

凄い楽しそうですね!うらやましい(笑)これを取り入れようと思われたきっかけはなんだったんですか?


フォックスさん:大学での海外プロジェクトがきっかけですね。タイのスラム街に日本の政策を取り入れるプロジェクトに関わる中で、STEAM教育を取り入れている学校に出会いました。そこでは校長先生や子供たちが積極的に活用していて、これは日本でも使えるのでは…と思ったのがきっかけですね。
 先ほども言いました様に、「楽しい」が大切だと考えています。ただ、「英語」だけでは駄目でなにかと組み合わせないと、と考えていました。そのような中「STEAM教育」に出会い、この組み合わせなら日本でもいける、と思ったのが現在の形となっています。

それでは実際にどのようなことを授業で行われていますか?


フォックスさん:そうですね、まず英語の教科書は今まで買ったことないです(笑)教科書とかしんどくなるし(笑)全て自作で、実験をしたり料理をしたり動物とのふれあいなど、体験型のものがメインですね。そしてどれにも共通しているのが作りながら発表させることを大切にしています。
 失敗してもOK!とにかくチャレンジしてくれれば、それでOKなんです。英検も当教室から何人か受けているのですが、当然落ちてしまう子もいます。でも、そんなことは関係なく「英検に挑戦したことを称える会」として、みんなでお菓子を食べたりジュースを飲んだりしながら、チャレンジしたこと自体をお祝いする場を設けています。
 あとやはり家でも継続して勉強して欲しいのですが、独自の通貨を用意することで、それを克服しています。ポイントが溜まったらゲーム、といった仕組みづくりも独自に行っています。

【STEAM教育を活かした体験型の学習 https://foxx-global.com/

STEAMを起点に色々と考えられているんですね!


フォックスさん:私は、マインドセットを変えることが大切だと感じています。どういうことかと言いますと、やはりただ英語を教科書に沿って学ぶだけでは楽しくないし、続かない(笑)そんな子供達のマインドを、ものづくりなど様々なことを通じて英語を学んでもらい、学習が楽しいと思えるようにしたいと思っています。

そういった気づきは大切ですね。STEAM教育、私も受けてみたいです(笑)。現在学習塾を運営されていて、日本の教育で感じている課題などはありますでしょうか。


フォックスさん:よく言われることですが、設定されたものをみんな同じようにしていること。それはそれで素晴らしいことですが、ある程度の競争は必要です。あえて競争させないようにしている、変じゃないけど、みんな平等にしようとしている。そんなことは絶対無理だと思うし、違和感があります。
 競争の中で苦しんだり、しんどい思いをしたりするかもしれないけれど、失敗したっていいじゃない。一人一人の好きなことを伸ばす、そういうところが教育にはもっと必要なんじゃないかな、と思います。

あとがき

 タイでのプロジェクト経験を通じて、英語に「STEAM教育」を取り入れた事業を展開されており、それが他の英語学習塾にはない強みに繋がっているのだなと感じました。また、フォックスさんは生徒たちの「チャレンジ」をとても大切にされています。それは、生徒たちのポテンシャルを引き出したいという想いからです。
 「空き家問題」「海外プロジェクト」「STEAM教育」「ケニアとの繋がり」。日本の価値観に囚われない、独自の経験を活かした運営が、他にはないFox X GLOBALさんの強みを生み出しています。

SAN

 さて、次回はこれまでの苦労やコロナへの対応についてお伺いしていきます。設立時、生徒は2名。人が集まらず立ちいかなくなる、といった状況からどのように生徒数を増やすことができたのでしょうか。お楽しみに!

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