【経営学の深堀り】会社が良くなるための経営手法の使い方(小野先生の著作を読んで)

【経営学の深堀り】会社がよくなるための経営手法の使い方(小野先生の著作を読んで)

小野先生取材のその後

 小野先生への取材シリーズ、全3回に渡ってお届けいたしましたが、いかがでしたでしょうか。実際に取材をさせていただき、その考え方・姿勢は胸にささることが多かったです。ただ、これで良かったで終わってしまっては、意味がないと思っています。1%でも何かを感じ取って、動いていくことが大切かなと思っています。

 さて、過去の記事の「取材」といったものの他に、我々の各メンバーごとに、個人テーマごとに発信をさせていただく予定をしています。人によっては、カチッとお堅い文章から、独自の視点から面白く分かりやすい内容で、と千差万別になるかと思います。楽しみながらも目を通していただければ光栄です。何か少しでも”パッと”明るくなればうれしいですね。

【テーマ】経営手法の使い方


 取材させていただいた、小野先生(どんな人?と思われる方は、こちらの記事からご確認ください)は、本も執筆されています。その中の一冊、「我が社は、なぜ顧客に選ばれているのか―EME流バランス・スコア・カードのワクワクする活用法」は、2008年12月に出版された本で、今はアマゾンでは、5,000円代の値がつくプレミア品‼です。今回こちらを読み、色々考え、学ぶことがありましたので、お伝えしたいと思い執筆しております。
 なお、著書の冒頭に、この本を読んでいただきたい方として、自社と自分に問題意識を持って、「選ばれ続けるために、変革を目指す」経営者・経営幹部の方々と次の世代を担う後継者、「変革を目指す」経営陣を支援する経営企画・外部ブレーンの方々、が挙げられています。12年前の執筆でありながら、その内容は、我々のような診断士にも学びの多い本となっていました。

そもそもバランス・スコア・カードとは何か

 まず、本のタイトルにもあるバランス・スコア・カードとは何か、というところを少しお話いたします。中小企業診断士の方や、経営学を学ばれた方は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
 元々、1992年。ロバート・S・カブランとデビット・P・ノートンにより発表されたものです。略称でBSC(Balance Score Card)と呼ばれ、
 ・「財務」
 ・「顧客」
 ・「業務プロセス」
 ・「学習と変革」

の視点から、業績を評価する技法、として提唱されたものになります。
 正直に言いますと、私が中小企業診断士の学習をしていた時、バランス・スコア・カードのことがあまり腑に落ちていませんでした(笑)「財務」は分かるんですけど、社内プロセス?学習と変革?とちょっととっつきにくいような言葉も相まって、へぇーそういうのがあるのか、という程度の理解にとどまっていました。改めて著書を読む上で深堀りすることで、自分自身ちゃんと落とし込めてなかった理由が分かりました。それは、なぜ導入するのか、という【目的】が、しっかりと分かっていなかったからです。

バランス・スコア・カードを導入する理由はなんなのか?

 著書には、「バランス・スコア・カードは、経営ビジョンを実現するために、戦略バランスとスコアに着目した戦略プログラムである。」と書かれています。
さらに深く読むと、これはつまり、


・「短期的な”財務”の視点だけでなく、”顧客”との信頼関係構築、会社独自の”業務プロセス”構築、”学習と変革”によって個人組織能力を蓄積・発揮、というバランスのとれた視点を持つ」
・「戦略の目標や進捗度を測定する評価指標を明確にして、スコア(数値)で評価することが出来る」


 といったことに強みを持つ、 「経営を改善・革新するためのツール」であるということが書かれていました。経営を改善するための手法やツールは、色々あるかと思います。その中のひとつの手法として、優れたツールだということです。
 更に、小野先生は、「リーダーシップの視点」という独自の視点を追加されています。それはなぜか。リーダーシップにより、経営者・経営幹部が、現状に対する認識及び経営ビジョンに対する認識を共有することで、企業の変革に向けたベクトルが統合され、「バランス・スコア・カード」導入の成果が格段に違うから、なのです。これは、自身の経験から、企業文化の重要性を痛感し、経営ビジョンを社内に浸透させることの大切さを理解されたからこそ、独自に発明されたのです。

経営改善手法、ツールを導入すれば会社は良くなる?!

 私自身、中小企業診断士としての勉強や、個人の経験・学習からよく思うことが、「ちまたには、色々な経営手法が優れていると提唱されている。そういった優れたツール・手法なのであれば、それを取り入れた会社は良くなるはず。ただ、実際は会社によって成果がまちまちなのはなぜなのか。」ということです。
 一体何が違うのか、間違った手法を用いているのか。そのような疑問に対して小野先生も自らの経験から、このように述べられています。

①「バランス・スコア・カード」が経営を革新する優れたツールであるならば、「バランス・スコア・カード」を導入した企業は、すべて好業績の企業になっているはずです。しかし、現実的には、導入することによって、高い成果に結びつける企業と、現状維持の企業、あるいは導入することによって混乱を招く企業もあります

②あるセミナー会場で、「EMEさん(小野先生の会社)が、今までに、バランス・スコア・カードの導入支援を行ってきて、EMEさんの実感として、成功率はどの程度でしょうか」と言う質問を受けました。本当は、100%と答えたかったのですが、正直に「変革に結びついている企業は60%程度でしょう」と答えました。

 そうです。小野先生自身も、自らの経験から、成功率は、100%ではない。結果は、企業によってまちまちである、と述べられています。ただ、私と違うのは、その違いはどこにあるのかの答えを、経験を持って導き出されているところでした。

経営手法・ツールが機能する「鍵」とは

 先ほど述べられたことには、それぞれ続きがあります。そしてそれこそが、経営手法を成功に導く鍵になります。

①企業とは、「人と人との関係性」が創り出す社会的なシステムです。私は、「バランス・スコア・カード」の導入支援を通じて、「人と人との関係性」が変化しなければ、そして、「人と人の関係性」の集合体である「企業文化」が革新されなければ、いくら良い仕組みを導入しても、高い成果には結びつかないことを体感してきました。

②質問された経営者の方は、「それで、安心しました。仕組み創りだけではない、ということを理解しました。あとの40%企業にならないために、経営者がしっかりしないといけないと言うことですね。」とおっしゃいました。正に、その通りです。変革に結びつく企業では、プロジェクトメンバーの役割認識や問題意識が違います。導入企業とEMEが切磋琢磨することによって、導入企業の「人と人との関係性」に変化が起こり、高い成果に結びつけることが可能なのです。

 つまり、導入するだけではなく、その仕組みをなぜ導入するのかを社内に浸透させ、メンバー全員の意識まで変革・統一することが出来て、ようやく成果に結びつく、ということなのです。だからこそ、通常のバランス・スコア・カードに、「リーダーシップの視点」を追加され、重要視されているのです。
 結局は道具なので、それを扱うのは人です。企業も結局人の集合体なのであれば、トップの人だけがどう使えばうまくいくかを考えるだけではだめで、その構成メンバーの全ての人がどう扱えば上手く扱えるかを考えないといけない、ということですね。
 「鍵」は経営手法ではなく、それを扱う「人」にある、ということです。

執筆者あとがき

 今回、この本を読むことで、会社がよくなるための経営手法の使い方、に関する重要なことを学ぶことが出来たと思っております。またこの本にはほかにも、ここに記載した内容の根底となる経験が具体的に書かれており、先生のこれまでの経験を盛り込んだ内容の濃いものとなっております。取材の時にお聞きした、「人間性」と「技術」の両輪を鍛えなければならない、という言葉の意味がより深く理解出来ました。また、この本の内容を踏まえた上で、先生に改めて取材してお話を伺いたいなと思いました。
 最後に、新型コロナウイルスで先が見通せない昨今の状況ですが、長寿企業についての分析も行われていた小野先生の、この一文を記します。

いくつもの景気変動を乗り越えてきた長寿企業。その強さの秘密は、「経営者と社員が一体となって、[しなやかに]環境の変化に対応できる、優れた[人と人との関係性]や[企業文化]」にあります。



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執筆者

ヤマジュン|中小企業診断士・ウェブ解析士
製造業にて管理会計や標準原価計算ベースの原価管理、連結会計による海外子会社管理などに取り組む。会計、システムの本当の意味での活用方法を、日々試行錯誤。デザイン、WEBマーケティングに関しても興味があり、スキル向上に励む毎日。



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